一体発達したブルジョア社会に於ては、中世紀的残存物の形をもった学職ギルドの如きは一つの神話的存在であって、之を信頼することは一つのユートピアに他ならない。
 そこで学職ギルドとしての大学はその解体作用を早晩発生させるのだが、日本では夫が教授団と学生大衆との物質的な又理想上の分裂という特別な形をとって現われている。大学はその主体乃至自治権所有者から学生を除外することによって、中世的共同社会から単なる市民的利益社会にまで分解発達する。之は大学に於ける大学[#「大学」に傍点]の自治(ギルドの自由)と学[#「学」に傍点]の独立(批判の自由)との元来の矛盾が洗い出されたことに他ならぬのであって、「大学」と「学」とが分裂し始めるのだから、世間では之を大学の転落[#「大学の転落」に傍点]と呼ぶのである。こうしてブルジョア大学は次第に高まる必然性に従って、大学内部だけから云っても、大学当局と学生大衆との分裂対立を惹き起こさざるを得ない。之が例えば学生の左傾[#「学生の左傾」に傍点]というものに他ならぬ。
 学職ギルドとしての大学学団が分解する過程だけを抽出すれば、こうした契機が現われるが、併しこの大学
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