スの車掌か、女教員であるか商売女であるかそれともただの娘や女学生であるか、などによって、別々でなくてはならぬ。女性よ、聡明になり活発になれと云って見た処で、又女性よ女らしくなれと云った処で、そんな一般的な処方は役に立つまい。
 ただこういうことは考えられる。結婚難かどうか知らないが、少なくとも結婚の条件を悪くしているものが、日本で男女交際の発達していないことだ、ということは一考に値いする。封建時代には職業が世襲であったように結婚範囲も世襲のようなもので、旗本の娘は旗本の息子へ、町人は町人へ、という具合に、数から云っても大体つり合うことが出来たので、深窓の内にだまって坐っていても縁はいつかは降って来たが、資本主義時代にはそうは行かない。結婚も亦ここでは出世と同じに銘々の個人の手腕によるわけだ。この手腕を発揮出来るチャンスが男女交際なのだが、日本で夫が発達していないのは、とに角結婚の条件として悪い。つまり自由恋愛という特別な結婚の予備生活のチャンスがないのである。日本の社会では恋愛という制度[#「恋愛という制度」に傍点]がないのだ。恋愛はただの間違い[#「間違い」に傍点]にされている。
 
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