来ないのである。之はという相手に出会わないからである。
 だが一番間違いのない処は、結婚難が大部分男の側の就職難[#「就職難」に傍点]に原因しているということだ。独身の男達が就職難なので、結婚しても女房を養うことが出来ぬという事情があるから、聡明な男や女は、結婚という生活を拒絶せざるを得ない。之を男の意気地なしと云おうと、女の贅沢と云おうと、女の理想が高すぎると云おうと、我儘と云おうと勝手だが、とに角若い男女の欲望や愛情の如何に関らず、社会の経済関係がそうなって来ているのだから、仕方がない。なる程無理をすれば出来るような結婚もあるが、そうまでして経済上の苦痛を忍ばねばならぬ程、青年男女は「結婚」というものの権威[#「権威」に傍点]を信じていないことも事実なのである。無論結婚という形式は好い華かなものだが、その反面には忍ぶべからざる苦痛と気づまりと絶望とがかくされているという真理を、実は今日の男も女もすでに知っているのである。結婚という制度は青年子女にとっては、痛し痒しの制度となりつつある。そう感じられるのは、結婚難というものが、ごく普通な現象と見える程にこの社会で増大したからなのだ。

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