来た。普通の家庭の十人並みの娘なら、この点安心していられたのである。
結婚難ということがやかましくなり、重大な社会問題になって来たのは、大正の末期からであるように思う。その頃から事実結婚難が大きくなって来たのが根本の原因だが、その結果として、結婚難ということを世間の人間がハッキリ認めて口にすることが流行になって来たのである。
ではなぜ結婚難がこの頃から増大したか。結婚難の原因は色々と挙げられている。女学生教育が普及したために、勉強のおかげで婚期を失するのだという考えもあるらしいが、この説の辻褄の合わないのは勿論だ。皆んなの婚期が延びるのだから、それだけ年を取っても婚期を失うという筈はないのである。結婚適齢期は段々後れて来つつあるのである。娘達の眼が肥えて来て、要求が贅沢になったから、というのも聞えない。男はそれ程屑ばかりでもあるまい。又職業婦人になる者が多くて、その職業婦人という独立な生活の自由を失うのが嫌だというので結婚拒絶症になっているのだ、という説明も見かけるが、それは大体から云うと嘘で、職業婦人は年齢の関係もあって、最も結婚を熱望している女群なのだ。ただ事実、なぜか結婚が出
前へ
次へ
全451ページ中272ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング