された処で、入学難の根本的解決などは出来るものではない、なぜかというに、入学難の背景には、母親の虚栄心や小学校の校長さんの世渡り術などより遙かに重大な動力として、将来の就職という目標が作用しているのだからだ。
 そこで就職問題の解決だが、之が抑々今日の社会問題の随一の困難なものの一つである事は云うまでもない。之は学校の先生達の卒業生売込運動や卒業生の各種のヒロイズムでも解消しないし、「世間雑話」的な世渡り精神でも役に立たぬ。そうした種類の粒々たる心労も、例えば軍需景気の一寸した上下の作用で、声のない虫のように、ひねりつぶされて了う。就職問題など一にかかって、支配者の腹具合にあると云うべきだろう。併しそう云っても銘々は食わねばならぬ。責任は支配者にはなくて、学生の場合なら、卒業生の銘々やその親や親戚にある。之が所謂「就職」問題なるものの意義だ。
 こうして入学試験の問題を就職問題へ解消して考えると、結局学生の最も切実な問題と云ったものは決して学生だけに特有な問題なのではない。今日誰だって食うに困っているか食うに困ることを恐れているかだ。その一群の民衆が偶々学生と云うものにすぎぬ。親の資産
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