育と啓蒙

 現代の日本に於ては教育家というものは数え切れない程存在している。少なくとも教育という問題に関心を持っている者は、他の関心の所有者に較べて圧倒的に多数だ。教育雑誌の数は雑誌の内で一等多いことは広く知られている。単行本の数も一位から三位とは下らない。
 処が一見教育に関係の深そうな啓蒙[#「啓蒙」に傍点]活動となると、第一にその観念が世間では一般にハッキリしていないばかりでなく、それが社会に於て占めるべき掛けがえのない位置に就いても、少しも徹底した観念が世間で行なわれていない。断わるまでもなく、啓蒙とは教育と同じ観念であり得ない。啓蒙というカテゴリーに這入らぬ教育や、教育のカテゴリーに這入らぬ啓蒙が大事な点であるのだ。処がそれが現代の実際[#「実際」に傍点]社会に於ては簡単に教育というような種類の観念にブチ込まれて了ってさえもいるようだ。だが実はそこに、この二つのものの根本的な区別の一端も亦、最もよく現われている。教育と云えば日本では多少とも国家機構の上で一定の位置を与えられた公認の社会的機能のことと考えられているのであるが、啓蒙は事実今日の日本では、決してそういう確固とした
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