た。で勤倹な多くの職業婦人は洋服に遠慮しているのだろう。
婦人の洋服が決定的に流行しないのは、婦人の労働の大部分の場合が家庭内労働であり、而もこの労働職場が畳式に出来ているので、和服は或る程度まで労働服の役割りを果すのである。少なくとも外の近代的施設の下で働かないので、洋服を労働服として要求しないのだ。勿論畳式家庭内労働でも立居振舞にとって和服は理想的なものではないから、却って家の内では安価な洋服をつける主婦は少なくないが、之は家庭外の社会に出ると忽ち通用しなくなる。男は街頭を勤労者として歩くが、女が街頭を歩く時は主に消費者として歩くからである(男は家庭に這入ると消費者となるので、大抵和服に着かえる)。とに角男の背広と女の和服の外出着とを較べると、一方が近代的労働服で他方は近代的消費服である。女は社会に於ける労働服についてまだ一定の制度を持っていない、その服装に迷っている。が、消費服については、和服は和服、洋服は洋服で、決して迷ってはいない。そして家庭内労働服についても殆んど迷わない。男は之に反して社会労働服としては立派な制度を持っている。が、家庭内消費服となると大分乱れて来る。まし
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