、私の心は痛んだ。こういう理由で彼等の不幸を嘆いたものは、恐らく私だけではなかっただろう。――然るに心ない新聞記者や雑誌編集者が、彼等をマルで見世物みたいに囃し立てたのは心外である。一体彼等被告は「転向」したのでも何でもないのだ。不幸にして彼等には転向美談はないのだ。だのにジャーナリスト諸君はどういう積りであんなに騒ぎ立てたのか?
 併し、案ずるよりは産むが易いとやらで、蓋を開けて見ると、十一名が十一名とも、禁錮八カ年の求刑に過ぎない。反乱罪の条項でも、「首魁」でないことは云うまでもなく、「謀議に参与したる者」でもなければ「群集を指揮したる者」でもない彼等は、単に「その他諸般の職務に従事したる者」に外ならないというのである。求刑がこうならば、判決は多分もっと軽くなるのだろう。それに××当時「諸般の職務に従事した」(?)者の先例もあるから、仮出獄も容易かも知れない、反乱罪というものの規定をよくも知らずにスッカリ心配していた吾々は、全く無駄な心配をしたものである。
 求刑に対する諸家の感想が新聞に出ている処を見ると、甚だ[#「甚だ」に傍点]重すぎるという意見と甚だ[#「甚だ」に傍点]軽すぎ
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