も面白くないので、それだけの数が普通の失業者ならばあまり問題は起きないわけである。国史は史学的に研究する代りに国学的にやるべきであり、社会教育は普及しただけでは危険だから「徹底」させなければならぬ。それから第四項の社会政策のためにはすでに協調会というものが出来ているし、第五項の人口問題解決=生活安定は、ルンペンを第一陣第二陣と満州に移民させればよいし、国民は無論政治に信頼を置いているから之を「深め」さえすればよい(第六項)。検閲を円満にするには出版関係者乃至著作家自身と連絡し協力する以上に理想的な方法は又とあるまいではないか(第七項)。
以上の諸項目の一つ一つに就いて吾々は完全に賛成であると共に、之が実現可能であるということを信じて疑わないものである。だからこそそれに賛成しているのである。――只、一つ心配なのは、日本精神の確立とか日本古典の研究とか近代思想の究明とか、国史教育社会教育の奨励とか、教育制度の改革とか、いうものに就いてまで、警保局で原案を造って呉れて了っては、文部省のすることがなくなりはしないかという、素人臭い心配の一点だけである。警保省文部局ということになりはしないかと
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