ことではなく、出来るだけ増設などの必要のないようにすべきであり又なるべきだが、少し今日までの警察官の警察技術と心掛けとから云って、増設を必要としないような状態は到底望まれないようだ。三畳敷き程度の処へ、多い時には二十人以上が言葉通りに鮨づめか刺身づめにされるのでは、大抵の留置人は身銭を切っても留置場増設を引き受けたくなるだろう。(そういう事実は調査して見たらば存在しなかった、などと云う勿れ。証人は日本の社会至る処からつれて来て見せる。)馬鹿々々しい牢名主制度などこういう物的条件から起きるのだ。之は少くとも近代化されねばなるまい。
室の数や広さだけではない、昆虫衛生、入浴設備、排泄衛生、採光、其他に関する改造が必要なのである。この改造費は警察医の費用位いでしぼり出せぬとも限らぬ。留置場から出た国民各自の医療費の一部を喜捨してもらっても、予算は立つかも知れない。留置場を近代的に立派にするのでなければ、刑事部屋にどんな快適な設備をしても、日本の警察は決して明朗にはならぬ。私は敢えてこの意味に於ける警察明朗化を提唱するものである。
[#地から1字上げ](一九三五・一〇)
[#改段]
八
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