は「高等」な社会人であるが、特高課の対象は之に反して下等[#「下等」に傍点]な社会人なのだ。ただ夫だけだ。
高等警察の廃止は政党の凋落を物語る、警察は政党が凋落したものだから、その××であった高等課を振り捨てるのだ、と云われている。それはそうだ。併しそれは同時に警察の特高化を、思想憲兵化を、物語っている。丁度政党や官僚や、軍閥が或る一点に向って集中して行くように警察行政も亦この一点に向って集中して行くのであって、高等警察の廃止も警察のそうした集中過程の一産物に過ぎないのである。
二、自然現象と社会現象
現在で最も大きな問題は何と云っても東北地方の「凶作」飢饉である。新聞は毎日写真入りで東北地方農民の耐え難い生活を報道している。新聞は或いは宣伝のためにこの問題に興味を有っているのかも知れないが、とにかく新聞の「東北凶作救済運動」は天下の輿論を動かし、センセーションを捲き起こすのに成功したと云わねばなるまい。特に農村の娘が酌婦・芸妓・娼妓・女工・女給・女中などとして安売りされるということが、少なからず世間の男や女の興味を惹いたらしい。子女の安売は日本では何も今日に始まったこと
前へ
次へ
全402ページ中287ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング