は、云わばこの有難い恩に狎れるというものだろう。さっき挙げた例の提案は、どれも之も御題目のように抽象的だし而も陸相自身がムキになって釈明する処によると別に之を強制する意志を表わしたものでもないそうだし、それに仮に実行するにしても、実業家、政治家、地主諸君に夫々手分けをしてやって貰うというのだから、軍部が政治に干与するとかしないとかいう、そんな形式論に拘泥するものはあるまい。――この軍部の恩恵に向って腹を立てたり騒いだりするのは諸君の勝手で、又その憤慨が取り持つ縁となって、国同と民政とが一緒になるのも或いは又民政と政友とが挙国一致単一政党を組織することになったにしても、それも亦諸君の勝手で、序でに政党政治[#「政党政治」に傍点]のために祝辞を述べておいても構わないのだが、併しあくまで忘れて貰っては困ることは、それが諸君にどんなに気に入らなくても、軍部の云っていることは諸君の云いたいことと全く同一のことだという点なのである。
 なる程軍部はブルジョアジーや地主や政党政治家よりも、もう少し上手なものの云い方を心得ているという差異はある。例えば、軍需工業労働者に対しては、軍部は「勤労恩賞法」と
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