給によって二百四十五万円(但し之は五六年経たなければ実現しないが)を節約することが出来る筈で、合計九百万円程になるから、例の赤字は完全に克服されることになるというのである。退職手当の二千万円はどうして造るかと云えば、市債を新しく起こすのだそうだ、吏員は従業員とは異って労働者でなくその数も多くはないので(とでも云っておく他ない)整理されない人間は云うまでもなく、整理される当人達自身も集団的には之を問題にしていないから、世間も又吾々も、あまり之を気に病む義務を感じないのであって、問題はいつもこの市電従業員の方にあるのだ。
山下電気局長はそこで、この整理案によらなければ市電の経営は完全に行きづまり、結局は従業員諸君自身の不為めになるという点を慮って、親心[#「親心」に傍点]になって整理を断行するのだ、今後は決して整理や減給はしないから、と涙を流して従業員に訴えた。併し東京交通労働を中心とするこの市電従業員達は、この「親心」という奴には余程懲り懲りしていると見えて、言下に之を拒絶して了ったのである。つい一昨年一千三百五十名の整理と一割二分との減給をやったばっかりなのだから、この親心に信用出来
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