はまず結構かも知れない。云うまでもなく関東長官は無いに等しい。そして駐満大使と云ってもただの外務省の大使などではない。
処が第一納まらないのは外務省だ。大使はあくまで大使でなくてはならぬ、即ち外務大臣の管轄になくてはならぬ。なる程関東長官は関東州内に権限を制限されるべきで、関東州外の満鉄監督権や付属地行政警察権は当然駐満大使に帰するのは当然だが、その大使自身が外務省にぞくさなくてはならぬ。そうやって、軍司令官と駐満大使とからなる本当の一位一体(たとえ同一人物が兼任しても管轄が二重になる)が出来るが、それが最も妥当な案だ、と外務省は考える。
旗色の悪いのはそこで拓務省である。一体拓務省は満州を植民地と考えたがる悪い癖があるのだが、外務省案は之とは反対に満州を独立国として、取り扱おうとする。その結果関東長官の権限は、みじめにも縮小され、それに続いて、拓務省廃止案さえ提出される。ただでさえ影が薄くて他の植民地の監督に就いてさえ色々の疑問が起きる拓務省としては、之は我慢が出来ない。外務省案にも陸軍省案にも絶対不賛成だというのである。だがそれに代る代案はまだ具体的にはなっていないらしい。――
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