告の処分を喰っているのを思い出して欲しい。
 処で不良華族のエロティシズムと平行して赤い華族が出始めた。即ちこの点でも亦、華族は普通の人間世界の真似を始めたのである。そこで治安維持法で起訴されるだろう華族の三子弟に対しては、例の宗秩寮審議会は除族乃至位記返上の処分を発表するだろうし、転向を誓って釈放された六名の者に対しては訓戒を加えるだろうと報じられている。読売新聞(十二月二十二日付)によると「これは今回の『華族の体面を汚辱する失行ありたる者』という単なる華族の素行上の問題とは異り、いやしくも皇室の藩屏として御信任厚き身でありながら、国体を否定する如き思想、行動に入ったという処にその問題の重大性が」あるのだというのである。華族が突飛な真似をすることが如何にいけないことかということが、この問題になると愈々明らかになって来ただろう。
 一体世間ではどうもまだ治安維持法に触れるということが本当に道徳的に悪いことだということを得心していないようで、全く困ったものである。どこここの官立大学の学生が治安維持法違反の嫌疑で検挙されたとか、召喚されたとか、甚しいのになると御丁寧にも検挙される予定だとか
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