社会の物質的な現実的な地盤である生産関係が、終極に於て社会に於ける人間の意識の形態を決定するのである。この際前者の物質的地盤が社会の下部構造で、後者の意識の形態が社会の上部構造と名づけられる。そしてこの上部構造がイデオロギーと呼ばれるのである。マルクスは之をイデオロギーともイデオロギー的形態とも呼んでいるが、元来イデオロギーはイデア(観念)の理論という語の意味であったことを参照して、我々はこの際社会の上部構造としてのイデオロギーを観念形態と訳すことが出来る。この訳語は相当行われている。
次に上部構造(観念形態)と前の虚偽意識との二つの意味の間の関係であるが、相反した主張を有つ二つの観念形態はお互に他を虚偽意識と見做すのを常とする。所が観念形態の内には社会の下部構造を忠実に反映したものもあり得るわけで、そうしたものは実は虚偽意識に対比して却って真理意識の資格を有つことが出来る。マルクス主義に於てはブルジョア・イデオロギーや封建的イデオロギーは現代に於ける虚偽意識を意味するが、之に反してプロレタリア・イデオロギーは正に真理意識を意味する。イデオロギーという語の意味がもつ真理意識と虚偽意識
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