I唯物論の本質(唯物弁証法)を自然に於ても貫こうとするものがエンゲルスのこの自然弁証法である。
自然弁証法の一般的な特徴は、自然が一つの歴史的過程であることの認識である。従って自然には絶対的に固定したものはなく、又他から絶対的に孤立した部分もない。一切の自然諸現象、諸事物は、歴史的に変化するものであり相互に連関あるものである。之は諸事物、諸現象の相互浸透即ち又対立の統一ということに他ならぬ。この意味に於いて又自然の一切の事物現象は矛盾と矛盾の自然的棄揚(否定の否定)とに基く。以上は自然という主観から独立した客観的存在そのものの根本法則に他ならぬ。―次に此自然そのものを研究する自然科学は、自然に関して弁証法的な諸概念を持たねばならぬ筈であり、事実また自然科学の歴史は逐次に自然の弁証法的観念に向って発達しつつあるのを告げているのが事実である。自然科学者自身は弁証法の観念を自覚しないが故にこの点の自覚が欠けているのがこれまでの多くの場合だが、自然弁証法の観念を意識することによって、科学的研究方法は意図的に促進されることが出来る。現代の所謂自然科学の危機や新物理学に於ける諸変革は、恰も自然と
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