サの方法たるスコラ的形式論理の分析的演繹の論理に反対したものは、自然を支配するために実験によって之を認識することこそ、唯一の知識乃至学問の途だと考えたフランシス・ベーコンであった。この場合ベーコン[#「ベーコン」は太字]は、云うまでもなくエリザベス王朝によって云い表わされるイギリス新興ブルジョアジーの論理学的代表者である。彼によれば聖書やドグマの代りに自然そのものを認識することが必要なのであって、そのための唯一の手段は、実験・観察に他ならない。処が之によって得た諸結果を総合するためには、例の概念分析的・演繹的・論理では何の役にも立たぬ。必要なのは従って、帰納という方法であり、この帰納法こそ新しい研究機関でなければならぬ(その著『ノヴム・オルガヌム』――新方法機関)。
この新しい形式論理は、一方に於てガリレイによって代表される自然の数学的研究方法との疎遠を別にすれば、全く近代科学乃至近代自然科学の根本的な認識目的に照応している。だが之によって、従来の所謂演繹論理学が成立しなくなるのでもなければ、又全く無用になったわけでもない。爾来形式論理学の教程は、演繹論理学と帰納論理学との二つの部分
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