ナある。にも拘らず自然科学が基く処の世界観と文学の基く世界観とは、そのアスペクトや光線の当り方やは別として、その実質に於て、同じ代物の世界観だということを忘れてはならぬ。だからここにこそ自然科学と文学との本当の連なりがあるのであって、自然科学的文学(実験的立場に立つ文学や自然科学の知識を材料とした文学)や、自然科学のエッセイ的表現や、自然科学に就いての文学的・文筆的評論や、又一般に文筆的評論の自然科学への立脚や、そうした両者の間の本質的な連絡がここから説明出来るわけである。――蓋し文学は哲学と同じく、文化一般に亘る文化の一部門であって、自然科学が文化一般に対して有つ関係を求めれば、必ず夫と文学との関係に行きあたらざるを得ないのである。だが今日一般の世間では、自然科学のこの「文学的」な社会規定が自然科学自身の本質の一つに属することを、必ずしも意識はしていない。
 五 結論 さて第三に自然科学が一つの社会意識・イデオロギーとして有つ特色を明らかにして結論に代えよう。問題は自然科学の階級性乃至党派性に集中するのである。元来階級性がより一層限定されたものが党派性であるのだが、用語例から云えば両
前へ 次へ
全200ページ中152ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング