識のために、その形式や範型や方式を用意するにすぎない。そういう方法学である。だから之をどんなに実際的な形に於て見ても(統計、グラフ、幾何図形化、等々)形式的な本質を免れないのである。「抽象化」された輓近数学に於てはなお更だ。論理学も亦之と同じい本質を有つ。哲学も、それが思想の科学である時、やはりそうなのである。この点から見ても、数学と哲学とを斉しくイデアの学と見たプラトンには意味がある。この種の方法科学は直接物を造るのが目標ではないからこそ、単純に「科学」と呼ばれていないのだ。
だから科学の目標は、どうしても物の生産であるらしい。
底本:「戸坂潤全集 第一巻」勁草書房
1966(昭和41)年5月25日第1刷発行
1967(昭和42)年5月15日第3刷発行
入力:矢野正人
校正:松永正敏
2003年9月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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