語と客語との結合とすることを止める外にはない。併しかくしても存在判断(一般に非人称判断)と属性判断(一般に人称判断)との区別がなくなるのではない。而もその区別は判断そのものの性質の有つ必然性によって成り立つのではない、何となれば存在判断に於て判断としての性格は破綻したのであったから。そうすればこの区別は是非とも判断以外のものの性質から来るのでなければならない。そしてこの判断以外のものを承認する時始めて主語に相当するもの――例えば現象(併しそれは判断現象[#「判断現象」に傍点]ではない)――も発見されることが出来るであろう。さてそうすれば茲に存在判断は判断[#「判断」に傍点]以外のもの――それは存在[#「存在」に傍点]である――の力を借りることによって始めて成り立つことが出来るということが暴露される。それ故存在判断は実はもはや構成性を有つ判断ではないのである。存在判断の判断の構成性と見えたものは実は構成性ではなくして還元性に過ぎないことが明らかとなった。かくて判断はこの場合他の場合に於てのように充分に優越性を示すことは出来ない――之が性格としての判断の破綻である。このような破綻を齎したも
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