傍点]な、実在の模写[#「模写」に傍点]と知識の構成[#「構成」に傍点]とに就いて、分析することになるのである。処が模写の夫々の仕方と云えば、つまり知識の構成のことだったから、科学一般に固有な模写ということは、つまり科学一般に固有な知識構成[#「知識構成」に傍点]は何かということに帰着する。科学論の問題は今や、模写[#「模写」に傍点]の問題を取り扱う認識論[#「認識論」に傍点]の主題から、知識構成[#「構成」に傍点]の理論へ移る。――
 処で科学とはどういう資格を有った知識のことであるか。だがよく考えて見ると、知識それ自身が一つの構成物であった。そして構成するには一定の構成目的とその目的に適した構成手段とがあったわけだが、知識はこういう目的と手段との間に成り立つものであった。処がこの構成目的は何かと云うと、前に云ったようにつまり実在の模写に他ならない。して見ると、知識なるものはすでに、どういう場合でも一つの組織物[#「組織物」に傍点]=体系[#「体系」に傍点]であり、そしてその体系が実在の構造や機構に照応すべく之を反映しているのだ、ということになる。だが、実在の任意の一部分を取っても夫
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