#「実験性」に傍点]は、やがて哲学の方の範疇組織そのものの技術的[#「技術的」に傍点]特色となって現われるのであった。自然科学と哲学とは、だからこの根拠から云って、もはや外部的な対立に止まることは出来ないのであって、社会科学と哲学との連関にさして劣らず、二つは内部的な根本連関を有つこととなる。
では一体自然科学はどこで哲学と区別されるのであるか、と問われるだろう。範疇組織に共通性がある以上、二つは結局同じものに帰着しはしないか。それならば併し、哲学は機械的に自然科学に解消されて了う他はない。だが一方に於て、哲学が一般に社会科学乃至歴史科学に対して極めて密接な関係を有っていたという事実を、ここで思い出さねばならぬ。で、もしこの哲学が自然科学に解消し得る位いなら、同じく社会乃至歴史科学にも解消して了わざるを得ない。従って社会・歴史の科学は自然の科学に解消せねばならぬということになる。これは想像も出来ないことだ。だから哲学は決して自然科学に解消しない、という結論となる。ではどういう連関と区別とがこの二つのものの間にあるのか。
だが夫を解明することは割合簡単に出来る。歴史的社会の唯物論的把
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