場合でも無意味で有害なことだが、そういうことと、その際科学と哲学との関係が単に曖昧に止まっていて良いということとは別だ。
社会科学乃至歴史科学に於ても、その方法論[#「方法論」に傍点]なるものが哲学として相当に発達している。処がこうしたブルジョア哲学的な方法論の何よりの一特色は、その形式的で抽象的な視界の狭隘さにあるのである。この点で典型的なものはC・メンガーの有名な書物『社会科学の方法』などだろう*。そこでこの狭隘さを脱出しようとする哲学的な企てが例えば各種の経済哲学[#「哲学」に傍点]や何かとなって現われる**。だがその経済哲学なるものに於ても、哲学と科学(経済学)との原則的なそして必然的な連関が、一向関節を与えられた形で現われないのである。そればかりではなく、根本的な疑問は、一体経済哲学なるものが経済学そのものに対して、どういう理論上の必要性を感じさせることが出来るか、ということだ。
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* C. Menger, 〔Untersuchungen u:ber die Methode der Sozialwissenschaften und
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