A逆にこの法則をこの諸々個々の事象に当て嵌める時には、もはや単なる反覆などではあるまい。そこでE・カッシーラーは、法則とこの個々の事象との関係を、関数とその変数がとる個々の数値との関係として理解しようとする。一定の曲線を表わす関数はこの曲線の個々の点に就いて、単に自らを反覆するのではない。この曲線のカーヴ・トレーシングから考えて見れば判るように、法則たる関数は、個々の事象に相当する曲線上の(恐らく連続した)諸点を、次々に描き出し、生産[#「生産」に傍点]して行くのである。自然科学に於ける法則をば反覆する共通者であるかのように考えて片づけて了ったリッケルトは、発達した現代自然科学のこの法則の観念(関数概念)を知らないのだ、とそう批難するのである*。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
* E. Cassirer, Substanzbegriff und Funktionsbegriff.――従来の自然科学は何等かの実体[#「実体」に傍点]を中心として方法が成り立っていた。現代はその代りに関数[#「関数」に傍点]関係が用いられる。例えば因果法則も時間の変数を含んだ関数としての性質を
前へ
次へ
全322ページ中139ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング