々に分解され、銘々に順次に高揚され、やがて凡てが出揃って又一つの全体的統一を持った世界観となる。丁度氷河が流れるような仕方に於てだ。こうなったものが第二次の世界観なのである。――科学(学問)は一般に、こういう手続きによって、実在世界(物質)に就いての知識を構成し、よって以てこの実在界を組織的に模写するのである。哲学に於ても、社会科学に於ても、自然科学に於ても、この関係は共通で変らない*。
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* 世界観・イデオロギー・方法・科学的世界の関係は、独り科学に限らぬ。文学[#「文学」に傍点]に於ても之と平行した関係が成立する。そこでは、世界観・イデオロギー・創作方法・作品という関係となる。吾々の理論の統一的な普遍的な観点のために、特にこの点を指摘しておく必要があるのである(前出「自然科学に於ける世界観と方法」参照)。
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 だがこの場合、この関係の枢軸となっているものは、いつも実在と、夫の模写・反映と、なのである。方法に就いてもイデオロギーに就いても、科学的世界に就いても、この根本は変らない。特に科学的世界となれば、それが原物の
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