られるものの内容と共に変り得ないものである(心理発生的)。次に数論の公理的な基礎と雖も数の間の関連と関係との云い表わし即ち反省判断と見られねばならぬ。例えば[#ここから横組み](a+b)+1=a+(b+1)[#ここで横組み終わり]という命題は順次の関係と同等の関係との関連を云い表わすものである(論理的)。ジョン・スチュアート・ミルの如く数論の命題をば実在界の対象を数えることから帰納的に一般化された経験の成果と見るのも、多くの人々のなすようにそれを純論理的な性質に基くとして分析判断の特殊の形と見るのも、数論の論理的な基礎が数の表象それ自身とその心理的な性質との内に求められねばならぬことを忘れた点に於て不当であると思われる。
既に述べたように感性知覚が感覚とかの不変なる表象(数、時間、空間)との総合を意味する以上数学が一般にかくの如き反省判断であるならば、数学の対象たるかかる不変の内的関係及び関連は凡て知覚に適応せねばならぬことは明らかである(カントが数学は経験[#「経験」に傍点]を支配するという時、カントは実は経験と知覚とを相即しているのであるがこの相即は少くとも疑問でなければならぬ)
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