せば「ある瞬間に与えられたる関係 Verhalten とこの関係のその時点に固有な変化との間に合法則的な即ち一般的に見出し得る関連が成立する」と云ってよいであろう。私は之を因果律の発生論理的 nomologisch な解釈と名づける。然らばかかる関連は如何なる論理的な形式で[#「如何なる論理的な形式で」に傍点]云い表わされるのであるか。それは「同一の条件[#「条件」に傍点]の下には同一の結果が起きる」という事である。併し実在界の全体が反覆出来ない以上、これは勿論ある一定の範囲に於ては[#「ある一定の範囲に於ては」に傍点]同一の条件の下に同一の結果が起きるということである。併しかくしても同一の条件が繰りかえし得るということは厳密な意味に於て云うことは出来ない。普通類似[#「類似」に傍点]の条件の下には類似の結果が起きると云われるのであるが、類似という如き徴標が甚だしく主観的な要素に依存するものである以上この云い表わし方は終局的なものとは考えられない。今出来事を一つの関数と見るならば関数を云い表わす方式は無数の場合に就いて夫々異った何物かを与えるものである事は、云うまでもない。関数関係は無
前へ 次へ
全25ページ中15ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング