B
[#ここで字下げ終わり]
範疇の発生学は同時に又範疇の系譜学[#「系譜学」に傍点]でなければならぬ、と云うのは、範疇はその社会的発生によって、その歴史的系統[#「歴史的系統」に傍点]に従って成長しなければならないのである。ギリシア人の社会はギリシア的神話を産み、それがギリシア的世界観[#「的世界観」に傍点]=哲学[#「哲学」に傍点]として統一を有つためにはギリシア哲学的諸範疇[#「ギリシア哲学的諸範疇」に傍点]を有たねばならないが、それは交通手段の乏しかった古代に於ては云うまでもなく、例えば印度哲学的[#「印度哲学的」に傍点](バラモンの又は仏教の)或いは支那哲学的[#「支那哲学的」に傍点](儒教の又は易の)諸範疇とは無縁であらざるを得なかった。処がこれ等の範疇の諸系統は今日に至るまで、夫々の系統として殆んど独立に[#「殆んど独立に」に傍点]伝承されているのが事実である。今日に至ってもまだ、欧州哲学的諸範疇[#「欧州哲学的諸範疇」に傍点]――それはギリシア哲学的範疇の系統的発展であって今日の吾々にとって唯一の技術的・自然科学的・社会科学的・範疇である――は、東洋哲学的諸範疇と決し
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