Iロギーという言葉[#「言葉」に傍点]が一般的に適用していても、イデオロギーという問題[#「問題」に傍点]そのものはわが国のインテリゲンチャにとって、次第に意味を失って行くかも知れない。インテリゲンチャはその唯一の特有な社会的能力である処の彼等のインテリゲンツ(知能)を失って了う、イデオロギーなどという問題は彼等にとってどうでも好くなる。この問題は、自己満足的な低劣なジャーナリズム(ジャーナリズムは併し本来そういう低劣なものではないのだが)の欲するままに躍っては消える流行[#「流行」に傍点]に過ぎないと云うことにもなるだろう。
イデオロギーの問題は少くともインテリゲンチャが進歩的である限り、常に支配的な問題に止まるだろう。又止まらねばならぬ。だが、インテリゲンチャの反動化――併しそれはインテリゲンチャのインテリゲンツ喪失・低能化・自己喪失と一つである――と共に、イデオロギーの問題も亦消滅すると考えたならば、夫は大きな誤りだと云わねばならぬ。否この問題はプチブル・インテリゲンチャなどの眼の前からは、出来るだけ早く消え失せて行くがいい。その時こそは、この問題が、[#傍点]大衆自身の本当の
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