A精神分析は、之を原理的に説明[#「説明」に傍点]することが出来る、というのである。群衆が一種の催眠状態に陥ることは何を意味するか、群衆が原始人の意識状態に還るとは何の意味であるか、何故群衆は無意識的に原始的・反社会的な行動をとるのか。凡そ群衆によって生じる精神のこれ等の諸変化はフロイトによれば、リビドーと社会による夫の抑圧とによって説明されるわけである。――人間の精神はただ社会的歴史的(乃至遺伝による)強制によってのみ原始状態から引き離されている。人間の原始的な自己愛[#「自己愛」に傍点]のリビドーは併しただ抑圧されて眠っているだけで、決して死んでいるのではない。原始的な自己愛のリビドーが有つ直接的な性的欲望と、目的の実現を抑圧された性的欲望とが、同時に存在するのが愛着[#「愛着」に傍点](Verliebtheit)ということであるが、その際愛着の相手が自我理想――超我――となり、直接な性的欲望の目的実現が禁じられたのが、催眠の現象である。催眠(愛着も亦)は二人の人間の間の関係であるが、群衆[#「群衆」に傍点]とは恰もこの催眠を複合した処のものである。ここに群衆心理が催眠状態と同じで
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