ト、之が階級社会に於て事実上演じる役割が何であるかを容易に知ることが出来る。)
ル・ボンの群衆心理学を、独特な仕方で補ったのは――再び――フロイトであった。フロイトはル・ボンの群衆心理学の内に、自分の Tiefenpsychologie と同じ結論を見出す*。ル・ボンは、群衆の心理が至極催眠状態に似ていることを指摘し、群衆が原始人と同じ意識状態に置かれるものであると主張する。之等の記述はフロイトが見た精神の規定と誠に能く合致するだろう。併し何より大事な一致は、ル・ボンが群衆心理を一種の無意識現象と見た点に横たわっている。群衆は自主性を失った無意識の内に行動する。処が無意識こそはフロイトによれば、精神の深い奥底であった。ル・ボンが群衆心理に於て見た処のものは、今云った限り、実はフロイトが精神――それは併しまだ群衆の精神ではない[#「群衆の精神ではない」に傍点][#「まだ群衆の精神ではない[#「群衆の精神ではない」に傍点]」は底本では「まだ群衆の精神ではな[#「だ群衆の精神ではな」に傍点]い」]――に於て見た処のものである。だからそこで、フロイトの精神分析は、ル・ボンの群衆心理学にまで移
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