トは動かないという点に存する。そこで支配するものは本来の推論ではなくて一種のアナロジーに過ぎず、原始人[#「原始人」に傍点]に見出だされると同じい感情の論理に外ならない。ル・ボンは之を「集合論理」(logique collective)と名づける。「群衆精神」(〔l'a^me des foules〕)は至極衝動性[#「衝動性」に傍点]や暗示性[#「暗示性」に傍点]に富み、丁度催眠状態と同様な一種の無意識[#「無意識」に傍点]現象を呈するのであるが、其処に動くものが、この集合論理なのである。この論理に於てはもはや理知はその部署を捨てているから、その限り夫は一種の神秘的な力によって動かされる。論理は信念[#「信念」に傍点]――信仰[#「信仰」に傍点]――に場所を譲らなければならぬ。群衆の精神を動かすものは宗教[#「宗教」に傍点]であるということになる。だから歴史を動かすものも亦、今群衆を動かした処の宗教である。歴史の原動力は、理性ではなくして宗教である。――処が歴史家達は、群衆の心理のこの特色を知っていないがために、歴史的出来事の結局の原因を突き止めることに成功することが出来なかった、彼等は
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