サの抑圧された衝動が意識されることを禁止するのである(多くの精神症はここに原因しここからその症状を規定されて来る、精神分析術とは抑圧された衝動を患者に意識せしめることによって之を治療する技術である)。
フロイトの精神分析の最も著しい特色は併しながら、この衝動を特有なリビドー[#「リビドー」に傍点]と考えるに存する。リビドーとは愛の衝動であり、又自己保存(栄養摂取)の衝動と結び付ければ、自愛の衝動である。之こそ生[#「生」に傍点]の衝動なのである(フロイトは後に之を死[#「死」に傍点]の衝動に対立せしめた)。一切の精神の運動はこのリビドーを原動力として発動[#「発動」に傍点]する。精神の根柢は生物学的生命[#「生物学的生命」に傍点](〔Vitalita:t〕)にある。意識とはかかる精神のリビドー的実質が、社会的強制によって強制され変容されたものに他ならない。精神に対するこの社会的強制の云わば余波が、一方に於ては多くの精神症の症状となり、他方に於てはそれが昇華[#「昇華」に傍点]して文化形態[#「文化形態」に傍点]となる、と考えられるのである。――それであるから、文化形態――イデオロギー
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