メ、又資本家や当局、が大体同じ「社会」概念を持っているとしても、それは社会科学者のもつ社会の概念とは根本的に異った点を含んでいる。心理学者や哲学者が「意識」という言葉で理解するものは、一般世人や労働運動者の理解している「意識」ではない。専門的な術語としてさえ、この言葉は決して判明なものではない。――だがこのようなニュアンスが吾々の前に無秩序に並存してあると考えてはならない。実を云えば、夫々の概念が歴史的発展の過程を経ることによって、今日にまで止揚されて来たモメントが、今日の様々なニュアンスとなって現われて来ているのである。そこで、社会と意識という二つの概念が、どういう歴史上の負担を有って今日吾々に現われているかを見よう――第一章参照。
人間の社会は有史以前からあっただろうし、又は人間がまだ動物的な諸条件を脱しない時にすらあったと想像して好い。元来動物それ自身が或る意味では社会的であるかも知れない(エスピナの 〔Les Socie'te's Animales〕 によってのように)。併し社会という概念[#「概念」に傍点]が、他の概念から特に区別されて、自覚[#「自覚」に傍点]にまで齎された
前へ
次へ
全378ページ中298ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング