証科学を知識の最高形態と考える実証主義[#「実証主義」に傍点]は、彼によれば偏狭な「ヨーロッパ主義」に外ならないのだそうだからである。ここでは彼は至極コスモポリタンらしく物語る。ヨーロッパ人の知識のみが知識の標準にはならない、と。併しこのコスモポリタンはただ、インターナショナルであり得るものは科学だけで、哲学は国民的[#「国民的」に傍点]・民族的[#「民族的」に傍点]でなければならない、という主張をするためにのみコスモポリタンであらねばならなかったのである。コスモポリタニズムは実はインターナショナリズムの否定であり却って民族主義の弁護なのである。コスモポリタニズムとインターナショナリズムとのこの可なり苦しい対立の矛盾は、コントの実証主義が何かの意味で――コント自身の認める通り――階級性[#「階級性」に傍点](この歴史的原理)を持つことを否定しようとするためにこそ発生する。コントの実証主義は一つの階級[#「階級」に傍点]――コントに於ける歴史のこの実践的原動力――のものではなくて正にヨーロッパ人[#「ヨーロッパ人」に傍点]のものである、とそう云わねばならない理由が何処かに在ったからである
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