ノ反して直観主義は、数学的存在の論理的[#「論理的」に傍点]な概念が仮定する固定的存在[#「固定的存在」に傍点]の思想を斥けて、数学的根本直観[#「根本直観」に傍点]によって数を自由な生成[#「自由な生成」に傍点]として把捉し、そうやってかの論理的[#「論理的」に傍点]困難を解こうと試みる。だがその結果、直観主義は、形式論理の法則を悉くは承認出来なくなる、排中律の如きは破棄されねばならなくなるのである。
 エレア主義[#「エレア主義」に傍点]とヘラクレイトス主義[#「ヘラクレイトス主義」に傍点]とにまで還元出来るだろう数学に於けるこの二つの世界観[#「世界観」に傍点]乃至存在論[#「存在論」に傍点]は、だから実は直ちに論理学上[#「論理学上」に傍点]の対立を意味している。形式論理学は、その一切の論理的意味内容を棄て去ることによって辛うじて形式論理学に踏み止まるか(形式主義――論理計算)、それでなければ形式論理学的法則の一部を棄て去らねばならぬ(直観主義)。数学は形式論理をあくまで固執するか、それでなければ先々のあてもなくこの形式論理の一部分を棄てねばならない。数学は云わば論理学的危機[
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