マ的な意味を有っていることを、今更口にする必要はないであろう。併しこの問題は世間の人々が想像しているように、それ程決って了った問題でもなければ、又充分に検討し尽されつつある問題だとさえも云えない。それは甚だ多くの未知のものを吾々に約束しているように見える。私はそこで、事物をイデオロギー論的に[#「イデオロギー論的に」に傍点]取り扱うための基本的な計画を立てて見ることにした。それがこの書物である。
だから私にとって、イデオロギーの問題は単に一つの顕著な大事な問題というだけではなく、可なりの広範さと普遍さとを有った原理的な[#「原理的な」に傍点]問題として現われる。この書物は単に読者にとっての手引きであるばかりでなく、又著者自身の科学的労作にとっての入門書なのである。それで今の場合、イデオロギーに関する歴史的叙述に立ち入る余裕がなかったのは遺憾である。
第二部の批判的な各章は以前発表したものを元にし、之を短かくし且つ訂正したものである。併しこの各章が、単なる批判[#「批判」に傍点]ではなくて、実は夫々一定の公式[#「公式」に傍点]を導き出すためのものだという点を、注意して欲しい。
一
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