[#「既成的問題」に傍点]なのである。さて処がこの哲学が有力であればある程、それから惹き出される問題は多数であり、その範囲は多方面であるであろう。そうしてその結果、この哲学が一切[#「一切」に傍点]の重要な問題を提供し尽すかのような錯覚を人々が起こすであろうことは、人々の展望が余り広く又高くないのが普通である限り、自然である。このような錯覚によって、この系列に属さない新しい問題が、それが正に既成的問題でないというだけの理由から、即ちそれが自分に対して突発的であるというだけの理由から、偶然な非本格的な末梢的な、時には廃頽的でさえある問題であるかに見えることは、必然である。歴史的伝統の道を外れたものとしての外道として、既成の権威に肖《あや》からぬものである限り権威なきものとして、そのような問題は見做され易いのが事実である。然るに実は、問題は問題としての性質上、それが既成的である時こそ却って、その概念の堕落を意味することさえあるべきなのである。何となれば提出され終った問題は或る意味に於て既に解決の約束済みであるのであって、然るに問題が問題である点はそれが正に提出されようとする発生期に存するの
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