理論乃至研究の概念の欠乏を暴露しているものに外ならない。――問題なき理論は恐らく単なる思惟又は思考ででもあろう。併しそこには思想はない、在るものはただ理論らしい姿を装う多くの没理論でしかないであろう。問題なき理論、社会的歴史的性格[#「社会的歴史的性格」に傍点]をもたない理論、そのような理論が如何に無意味であるかを痛感する人々は、問題の概念が何故かくなければならないかを知るであろう。
問題は理論(乃至科学等々)に関してのみ語られる。そして後者が歴史的社会的存在であると同じく、前者は歴史的社会的存在であることが忘れられてはならない。
問題の歴史社会的構造を系統的に――そして理論[#「理論」に傍点]へ関係づけて――分析することは最も重大で必要な仕事であるように見える。今はその断片として問題の概念を立場[#「立場」に傍点]の概念に較べた限り、分析しようとする。
問題が歴史社会的存在であるからと云って、問題が常に歴史的に(又社会的に)与え[#「与え」に傍点]られているということには必ずしもならない。というのは、それが常に既成的[#「既成的」に傍点]のものであって個人又は何かの集団が其を
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