場の内、何故特に、絶対主義と相対主義とを代表的なものとして選んだかは既に意味のないことではない。その意味を後に明らかにする。
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 絶対主義的立場(整合)と相対主義的立場(整合)とはその根柢的な論争にも拘らず、勝敗を決定することが遂に原理的に不可能である。吾々が独善的であるかそれとも又適宜の点に於て妥協的でない限り、之が際限なき水掛論に陥ることを、吾々は常に経験している。論争解決の事実上の困難[#「事実上の困難」に傍点]は、茲にその原理上の不可能[#「原理上の不可能」に傍点]にまで転化されるのである。それでは本当に[#「本当に」に傍点]勝敗の決定が原理上不可能となる場合を承認しなければならないのであるか。併し又そうすることはとりも直さず、相対主義という一つの立場[#「立場」に傍点]の主張となるように見える。そして再び絶対主義という立場[#「立場」に傍点]との水掛論を始めなければならないように見える。――併し断定を急いではならない、茲には恐らく何かの罠がある*。
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* 理論の罠・トリックは、意識的又無意識的に犯される処の、隠
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