、初めて突き止められるのである。理論に於けるこの分を、人々は立場[#「立場」に傍点]と呼んでいる。
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* 理論は一定の視点に従って日常的な理論とそうではない理論とに区別される。夫々のものの一例として、法律学の理論と物理学の理論を挙げることが出来るであろう。日常的理論に就いてのみ今吾々は語ろうと思う。
[#ここで字下げ終わり]
 解き難く見えた理論の葛藤を、何か恐らく二つの立場に分解することによって、能く明快に解くことが出来ると人々は考える。多くの論争は立場の相違[#「立場の相違」に傍点]に還元[#「還元」に傍点]されることによって、一先ず片づけられるように見える。というのは、云わば論争の偶然な歩哨戦は、立場の決戦によって結末をつけられることとなるのである。論争をこのようにその主力にまで転化し得るには無論、特に優れて有力な理論的能力を必要とするであろう、この転化が成功した時、吾々はこの理論的能力の鋭さを賞讃しなければならない。併し立場と立場のこの「論理的決闘」に於て、勝敗を決することが、原理的に常に可能であるかどうか、それが今の吾々の疑問である。
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