性格的概念は日常的概念[#「日常的概念」に傍点]と呼ばれることが出来ると云うのである。
 性格的概念はただ、日常的であるという意味に於てのみ、常識的概念である。之に反して非性格的概念はただ日常的でないという意味に於てのみ、常識的概念でないのである。之が通俗的概念であるか専門的概念であるかを私は知らない。
 性格的概念――常識的概念――によって性格的理解[#「性格的理解」に傍点]が与えられる。非性格的概念によって与えられる理解は非性格的理解[#「非性格的理解」に傍点]でなければならない。或る人間の性格を理解する場合の如きは恰も前者であり、数学的証明を理解する場合の如きものがとりも直さず後者であるのである。吾々が日常出逢う多くの事物は、実際に於ては常に性格的に理解されなければならぬものであるであろう。今之を学問的・専門的な手続きという口実の下に、非性格的理解によって置き換えようとするならば、そこに見られるものは学問の非実際さや憐むべき無力であろう、科学は迂遠なる知識となる。併しこのような場合の学問は実は学問ではない。何となれば性格的理解はただ性格的理解としてのみ、非性格的理解となることなく
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