性と反対な専門性に外ならない。通俗と専門とは反対概念でありながら、両者の間には単に限界がないばかりではなく、両者は同一の規範を原理としているのである。通俗性は実際不純なる混淆した専門性に外ならないのが事実であるであろう。それであればこそ学問的・専門的な立場に於ては通俗性の概念は消え失せて了わなければならないのである。通俗的学問という概念は Contradictio in adjecto として響くであろう。之に反して日常性は専門家と素人との区別を予想しない。人が専門家であるか素人であるかによって一定の概念の日常性が変化するのではない。であるから日常性の理想――規範――は日常性と反対な或るものにあるのではなくして、自分みずからの内にあるのでなければならない。この規範が或る意味に於て専門性であり、学的であることに存在するならば、日常性はみずからを失うことなく、自らを強度にしながら、その専門性・学問性を得ることが出来る筈である。茲に例えば日常的学問という概念が成りたち得るのである。――さて今常識的[#「常識的」に傍点]と呼んだのは通俗的のことではなくして正に、日常的のことである。それ故今や、
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