に、従って歴史学的統一体としての歴史の根柢に於ても無論、働いている処の、根本的な要素的な歴史的運動をそれは意味するのである。凡そ人々が或る事物を実践的に取り扱う時、即ちその事物に就いて理論し又はその事物を現実的に変革する時、事物の概念は又事物の現実的存在は、変化せられる。かかる変化=運動は併しただ人々が之を加えることによってのみ成立する。吾々は之を自然的運動から区別しなければならない。歴史的運動とは之である。概念の運動・思想の運動・から始めて、行為の運動・歴史学的統一体としての歴史の運動・に至るまで、運動は凡てこの歴史的運動としての特色を有つ。この歴史的運動は要素的運動である。歴史的乃至人間的と呼ばれる凡てのもののどの部分を取って見ても、夫はこの運動を要素としてのみ運動し変化することが出来るのでなければならない。処で歴史的運動が歴史の一部分[#「一部分」に傍点]に於て行われるためには、之は同時に歴史の全体[#「全体」に傍点]に於ても行われなければならぬという特色を有つ。と云うのは或る限られた一定の歴史内容に於ける運動は常に、それを越えて全体の歴史内容に於ける運動に終局に於いて帰着し、之
前へ 次へ
全268ページ中24ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング