ら、之は一朝にしては殆んど絶対に不可能であると考えられるであろう。自然科学の変革[#「変革」に傍点]が愈々困難[#「困難」に傍点]な所以である。
であるから自然科学に於ては、理論Aに対して批判的位置を占めるべき新しき理論A′[#「A′」は縦中横]が、予めAの拡張・修正・補遺としてのみ、みずからの態度を決めてかかり勝ちなのは、至極尤もであるであろう。従って茲に働くものは、その根本傾向に於て、元来、前者の否定や止揚であることを欲しないのである。前者は後者を以て、自己の拡大・訂正・追加に過ぎないものと見做すことが、事実上常に出来るからである。もし後者が前者を否定したのであったならば、前者は後者を以て、正に自己の否定と反対としてこそ意識する筈である。かくて実際、既成の自然科学を変革することが益々困難と考えられる所以がある。
さて之まで指摘して来た困難[#「困難」に傍点]の故に、自然科学の歴史的社会的制約――第三階梯の階級性――は検出し難く見えたのであった、困難[#「困難」に傍点]は自然科学に特有なかの弁証法的二重性に於ける、歴史否定[#「歴史否定」に傍点]の契機から由来したのであった。処が
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