う――現段階[#「現段階」に傍点]の性格は、もはや論理構成の原理内に組織的に織り込まれてはいない。自然科学にとっての現実とは、歴史的現段階のもつ現実性ではなく、恰もそのような歴史性の否定であった処の通時間的な自然[#「自然」に傍点]のもつ現実性に外ならない。故に自然科学的理論は、歴史的現段階に固有な現実性に立脚しないことをその特色とする。之に反して歴史的科学は正に、歴史的現段階に固有な客観的事情からこそ、その理論的分析の端緒[#「端緒」に傍点]――原理[#「原理」に傍点]――を取り出さなければならない。例えば現代[#「現代」に傍点]の経済学は、それが現代[#「現代」に傍点]の経済現象の分析であるが故に、正に商品の分析から出発しなければならない[#「出発しなければならない」に傍点]ように。かくて、科学のもつ歴史的制約――階級性――が直接か間接かの相違は、夫が歴史的現段階に固有な現実に立脚するかしないかという、質の上の原理的な相違を事実上意味するのであった。単なる量の上の対比では之はもはやない。
 それ故明らかとなることは、自然科学が歴史社会的に制約されている――第三の階級性によって――に
前へ 次へ
全268ページ中215ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング