もっと立ち入って分析する必要がある。
自然は第一に主観からの脱却を要求とする概念であるだろう。事物が何かの意味で主観を脱却する程度に応じて事物は自然的となると考えられる。そこで自然科学にとっての自然は(自然科学の代表者としては物理学を考えるべきであった)、自由行為者としての人間をば、凡ゆる意味に於てその対象界から除外することを、其理想とする。人間は自然科学的世界に於てはたとい観察者であっても自由行為者としては登場することを許されない。それ故自然科学はそれ自身生活の一部にぞくするにも拘らず、他の諸科学に較べて、生活[#「生活」に傍点]から縁遠く、従って生活を規定している処の歴史的社会的制約によって、至極間接的[#「間接的」に傍点]にしか条件づけられることが出来ない。――茲に自然科学に特有なかの二重性が働いているのを見る。さてこの制約が間接であるから、制約者の有っている一定形態[#「一定形態」に傍点]の制約は、もはやその儘の姿では、或いは之と一定関数関係にある姿を以てしてさえも、被制約者に伝えられないことは、そうありそうなことである。この場合の歴史的社会的制約は、ただ変装[#「変装」に
前へ
次へ
全268ページ中213ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング