いう概念と真理という概念とは、単に概念としては夫々独立な概念である。虚偽はあくまで真理ではなく、真理はあくまで虚偽ではない。併し実は、単なる概念としての虚偽、虚偽それ自体、というものは存在しない。存在するものは、一定の内容規定を持った限りの虚偽な或るもの[#「或るもの」に傍点]――虚偽な主張・学説・報告・等々、――だけである。真理も之と同じく、真理という性質を有つ或るもの[#「或るもの」に傍点]としてしか存在しない。さて虚偽な或るものは、虚偽それ自体というようなものとは異って、時としては、真理である処のものに成る[#「成る」に傍点]ことが出来、そして同じく真理であるものは時として、虚偽であるものとなる[#「なる」に傍点]ことが出来る、という事実は注目に値する。前に真理と思われたものが、後になって虚偽として見出され、後に真理として意識されたものも、以前には虚偽と考えられていた、ということは往々であるだろう。
従って真理も虚偽も、夫々の又相互の、歴史的運動に於てしか、実質的に語られることは出来ない。それ故、真理を虚偽から独立に、それから引き離して、語る権利を人々は有たないのである。処で、
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