格概念は個別化原理からは独立な概念成立の動機を有っているのでなければならない。
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* 性格と常識との関係は重大である。後に之を明らかにしよう。
** ライプニツのモナドの概念は個物乃至個性の概念の最も精練された場合の一つであるであろう。それにも拘らずモナドは遂に個別化原理からの制約を脱却することが出来ない。
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 人々は個物と個性とを区別せよと云うであろうか。個物は一つの限界概念であり、之に反して個性は、単なる限界概念ではなくして窮極的なそれであり、そして正にその故にこの規定を圧倒するに足るほどの豊富な他の内容を有つ、と云うであろうか。併しそれにしても個性概念は概念成立の歴史に於て、その概念の動機に於て、個別化原理に由来することは否定出来ない。性格概念は然るに、そのような歴史から、そのような動機から、自由である。
 性格という言葉の原始的な意味は刻印[#「刻印」に傍点]である。日常的な具象的事物――凡そ学問の対象としてのみ[#「学問の対象としてのみ」に傍点]存在し得ると考えられるような事物を私は以下考察の外に置く――の性格
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